食品ロス削減から貧困問題解決へ:今日からできる支援の形
毎日捨てられる食べ物と社会課題
私たちの身の回りには、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品が数多く存在します。これは「食品ロス」と呼ばれ、家庭や飲食店、小売店、食品工場など、あらゆる場所で発生しています。国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、世界で生産される食料の約3分の1が毎年廃棄されていると言われています。
この食品ロスは、単なるもったいない話で終わる問題ではありません。実は、環境、経済、そして社会のさまざまな側面に深刻な影響を与えています。特に、食べ物に困っている人々がいる一方で大量の食品が捨てられる現状は、貧困問題や食料アクセスといった社会課題と密接に結びついています。
この記事では、食品ロスがなぜ社会課題となり、どのように貧困問題と関連しているのかを解説します。そして、私たち一人ひとりが日々の生活の中でできることや、具体的な支援活動についてご紹介します。
食品ロスが引き起こす問題とは?
食品ロスは、主に以下の3つの側面で問題を引き起こします。
- 環境負荷の増大: 食品の生産には、土地、水、エネルギーなど多くの資源が使われています。食品が捨てられるということは、これらの貴重な資源が無駄になるだけでなく、廃棄された食品が焼却される際に温室効果ガス(CO2)を排出し、地球温暖化を加速させることにもつながります。
- 経済的損失: 食品の廃棄は、生産者、加工業者、小売業者、そして私たち消費者のすべてにとって経済的な損失を意味します。家庭から出る食品ロスは、家計にとって無駄な出費となります。
- 貧困・食料アクセス問題との関連: 世界には食料が十分に手に入らず、飢えに苦しむ人々がいます。その一方で、先進国では大量の食品が捨てられているという現状は、大きな矛盾です。食品ロスを削減し、まだ食べられる食品を必要としている人々に届けることは、食料アクセスを改善し、貧困問題の解決に貢献できる可能性があります。
食品ロス削減に取り組む人々や団体
食品ロス問題を解決するために、様々なアプローチで活動している人々や団体が存在します。
フードバンク活動
「フードバンク」は、企業や個人から寄付された、まだ食べられるのに流通に乗らない食品を集め、生活困窮者や福祉施設などに無償で提供する活動です。これにより、食品ロスを減らすと同時に、食料を必要としている人々を支援しています。
- 活動例:
- NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン: 日本で最初のフードバンクとして活動を開始し、全国的な規模で食品の回収と提供を行っています。
- 地域のフードバンク団体: 各地域に根ざしたフードバンク団体が活動しており、地元の企業や農家と連携して食品を集め、地域の人々を支援しています。
フードシェアリングサービス
スマートフォンアプリなどを利用して、飲食店や小売店で余ってしまいそうな食品を、割引価格で消費者に販売するサービスも広まっています。これにより、店舗の食品ロス削減と、消費者の節約を両立させています。
- 活動例:
- TABETE(タベテ): 閉店間際の飲食店などの余剰食品をユーザーが購入できるマッチングプラットフォームです。
- Oisix(オイシックス)などの食品宅配サービス: 規格外野菜や余剰食材を活用した商品を販売するなど、サプライチェーン全体での食品ロス削減に取り組んでいます。
今日からできる食品ロス削減と支援の形
食品ロス問題の解決は、私たち一人ひとりの行動から始めることができます。
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家庭での食品ロス削減を実践する: 最も身近で重要な一歩です。
- 買い物前のチェック: 冷蔵庫の中身を確認し、必要なものだけを購入する。
- 「使い切り」を意識: 食材を計画的に使い切り、作りすぎない。
- 保存方法の工夫: 食材に適した方法で保存し、鮮度を保つ。
- 食べ残しを減らす: 外食時も食べられる量だけ注文し、残さない。
- リメイク料理: 残った食材や料理をアレンジして別の料理に活用する。
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フードバンクへ食品を寄付する: 自宅で使いきれないけれどまだ賞味期限に余裕があり、未開封の食品があれば、地域のフードバンクへ寄付することを検討しましょう。多くのフードバンクが、直接持ち込みや郵送での寄付を受け付けています。
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フードバンク活動にボランティアとして参加する: 食品の仕分け、配送、イベントの運営など、フードバンクでは様々なボランティアを募集しています。時間があるときに、具体的な活動に参加してみるのも良いでしょう。
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フードシェアリングサービスを活用する: 普段の食事で、フードシェアリングサービスを通じて余剰食品を購入してみるのも一つの方法です。お得に食事を楽しめるだけでなく、食品ロス削減にも貢献できます。
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情報に触れ、広める: 食品ロス問題や関連する社会課題についての情報をSNSでシェアしたり、家族や友人と話し合ったりすることで、関心の輪を広げることができます。ウェブサイトやニュース記事を通じて、より深く学ぶことも重要です。
私たちの小さな行動が大きな変化に
食品ロス問題は非常に大きく複雑に見えるかもしれません。しかし、私たち一人ひとりが日々の選択と行動を変えることで、確実に状況を改善していくことができます。今日からできる小さな一歩が、食品ロスを減らし、食料を必要としている人々へ手を差し伸べる大きな力となります。ぜひ、あなたに合った方法で、この社会課題の解決に参加してみてください。